(かげやま・ともあき)
クルミド出版、発行人。
新しい可能性に出会ったとき、「できるかも」と考えてしまうのが、いいところでもあり悪いところでもある。2008年10月にクルミドコーヒーをオープンさせて以来、まったく先の読めない人生を送るようになってきた。
『10年後、ともに会いに』『やがて森になる』では著者と格闘しながらの編集も担った。いつか自身も本を書く野望があるとかないとか…。
西国分寺生まれ。
座右の銘は「犬も歩けば棒に当たる」。
出版業に関わるようになって、その業にまつわる様々な歴史や技術を知りました。かつて一つの本を作るのに、どれだけ多くの人の手が関わっていたかということも。
もちろん時代は変わり、機械化・電子化は進んでいます。そこには魅力も必然性もありますね。ですがやっぱり「手作りの本」もなくしたくないなと思いました。というのも、そうしたことが進めば進むほど、「あなたはいなくていいよ」と言われているような気がしてならないからです。
かといって意固地になるのでもなく、技術のいいところも吸収しながら、本の可能性、追求していけたらなと思っています。
(こじま・りえ)
クルミド出版チームの頼もしい取りまとめ役。発行人がいい加減なためしばしば起こる抜けもれは、彼女が大体拾ってくれる。時折メルマガを送ってくる「くま」の世話係としても知られる。
エクセル女子で、InDesignを使いこなし、社会保険手続きにも精通し、簿記3級、カメラも本格派のオールラウンダー。
1円の四捨五入の間違いを心から悔やむ割には、400文字の原稿依頼をすると、大体800文字くらい書いてくるので注意が必要だ。
寮母が夢。
クルミド出版には、「タイムリミット」というものが、あまり存在しません。と、言いますか、締切を設けると、それが急であればあるほど、予期せぬ何かによって遅れたり、叶わなくなったりするのです。
計画や目標を立て、尽力することは大切。でも、土に蒔いた種がいつ芽を出し、花や実をつけるのか、人が統制できないのと同じように、流れに身を委ね、丁寧にその時を待つ。そんなチームがひとつくらい、あってもいいのかなと思っています。
(ひでた・きぬ)
自ら中心人物になろうとは決してしないが、ポジショニングが抜群によく、穴があればふさぎ、断線があればつないでくれる。彼女のいるチームは強くなる。
5,000時間近くお店のシフトに入ってくれているアルバイトリーダーであり、お店とクルミド出版のかけ橋ともなってくれている。
祖父ゆずりの画力が近く発揮されるのではないかともっぱらの噂。
わいわいDIY部所属。
クルミド出版のメンバーに手をあげたきっかけは、無類の本好きだから!
いえ、違います。
出版関係の仕事にあこがれていたから!!いえ、まったく…。
ただその瞬間、自分の中で何かがときめいたんです。
戦力にならない私をみんながこの場で活かしてくれる、その気持ちがうれしくて自然と頑張れてしまう不思議な場所です。
横尾寿永堂は明治35年創業の印刷屋さん。岡城さんは、小柄な身体で大きな印刷機を大胆に繰り回す姿が印象的な、頼もしい仲間です。
九ポ堂版と違ってこちらは印刷機ですから、よりスムースに大量の印刷が進むかと思いきや、これはこれで大変。インキの温度によって刷り上がりが変わってきたり、ブロッキング防止パウダーが舞って凸版に付着することで文字がつぶれてしまったり…。
あまり受けることのない仕事、それでもめげることなく試行錯誤しながら、コツコツ、丁寧に仕上げてくださいました。
横尾寿永堂版にはこの版の、独特の思い出が詰まっています。
このプロフィール写真が十分語っていますね(笑)
「本文の版を凸版でつくり、校正機で印刷」……「はあ?」という感じだったのではないかと思いますが、そんな内面はおくびにも出さず、フレキシブルかつ迅速な対応で印刷の工程を支えてくださいました。
角田さんには、クルミド出版つうしんの第31話もご担当いただいたのです。そのタイトルがなんと…。想像を超えるユニークさです。
是非一度ブログもご覧になってみてください。深淵な角田ワールドにはまってしまうこと請け合いです。
真映社ホームページ
夏に町会で盆踊り会を開催しました 役割をきちんと決めておかなきゃダメよ と婦人部長は言いました 私はテキトーに決めておきました 当日は予想外の人出でてんてこ舞い でも みんなが勝手に動いてくれて なんとかなりました 決められたことだけする人ばかりじゃこうはいかない 喫茶店が本を出したって それはいいのです
本づくり、できたらいいなと考え始めていた頃、昔からの友人が手渡してくれたのが美篶堂さんの「コトノハノート」の小さなチラシでした。ああ、こういう職人さんがまだいらっしゃるんだ、と感動し、こんなところに本を作っていただだけたら素晴らしいだろうなと妄想し…。
何事も妄想してみるものですね。
製本所のある長野県伊那市美篶の里もお訪ねさせていただきました。
職人さんたちの、その静かで手際よく美しい工程は、本たちに最後の生命を吹き込んでくださるかのようです。
美篶堂ホームページ
クルミド出版との本づくりは、驚きに満ちたものでした。カフェから生まれた作りかたの手法は、まずは、私達の製本ワークショップにご参加くださるところからはじまりました。神保町のショップにはいつも、編集長、著者、デザイナーのチームで材料の吟味をしに何度も足をお運びくださり、ついには長野県伊那市にある美篶までも、訪ねてくださいました。こうした情熱は作り手にも伝わります。これからもご一緒いただけるよう、製本精進いたします。そうして、最後に私の夢を告白します。いつかいつか、製本屋もカフェを開きたいです。
きっかけは、酒井葵さんがお手製のくるみ割り人形のクリスマスカード、お店に送ってくださったことでした。
地元にこんな方々がいらっしゃるのかと、ドキドキしながらお訪ねしたのが数ヶ月後。お会いしてすぐ、この方たちにお願いしたいと気持ちの動くのが分かりました。以降、とんでもない印刷の工程を引き取ってくださり、『やがて森になる』ができました。
酒井草平さんも、著者の小谷ふみも、発行人も西国分寺三代目。ぼくらを動かしたのは、ぼくらだけではなかったのかもしれません。
九ポ堂ホームページ
ひょんな事からクルミド出版と関わらせてもらうことになって、いつの間にか季節が一回りしておりました。
「活版校正機で本を刷る」という風変わりな注文と格闘しつつできあがった『やがて森になる』は、私共にとって物作りの苦労と喜びが詰まった大切な一冊になりました。「風変わりで楽しい出版社として、50年後もその先も、ずっとそこにあり続けて下さい」と、やはり風変わりな九ポ堂は思うのです。
『やがて森になる』をなんとか活版で印刷できないかと考えているとき、美篶堂上島さん、九ポ堂酒井さんの双方からお名前をお聞きしたのがこの渓山さん。残念ながら活字組みでの印刷はかないませんでしたが、印刷を進める節々でいつも、よき相談役になってくださいました。
渓山さんも、2013年6月にFUPとして独立。台東区寿にシェア工房を構えられました。いつかきっとご一緒に、活字組みの本文印刷にも挑戦してみたいと思っています。
FIRST UNIVERSAL PRESSホームページ
「えっ、これから始めるのですか?」
クルミド出版の方々と初めてお会いしたときに、私が話した最初の感想だったと思います。1年経ち「本」が出版され、新たな企画も進行中と、順調な成果をお祝い申し上げます。機会がありましたら活字達もよろしくお願いします。